Jeanne-Claude


クリスト&ジャンヌ=クロードのように、
時間と場という広大な概念をこんなにも楽しんで生きる美術家は他に知らない。


# by mariyamy | 2009-11-22 22:48 | Trackback | Comments(0)

生存感覚を刻む生活時間

彫塑(彫刻)は、肉眼で解剖する領界を広げていく。骨格や筋肉、脂肪の肌理といった構成要素の忠実な観察を通じて、モデルに被せられていた雰囲気や情感といった幻惑からいったん離れる。顔の素描の段階においても同様に。視神経に引っ張られた眼球、見えない眉骨にのせられた毛の流れなど、内部と連動した表徴として粘土とへらを扱う。下から煽って眺めたり、モデルの輪郭をなぞるように手をかざしたり、足場を広くとって360度自在に観察する。そのような動きで、肉眼のかぎりで分解した要素を躍動感をもって再縫合する。

写真は、実体を完璧な構成のうちに凍結する。
写真は記憶を強靭に保持する。
だから私たちはシャッター音に取り憑かれ、写真を撮るのだが、
今度は写真におさめなかったものが次々と記憶から抜けることが気になってしまう。
ゆっくりと眺めるより前に、
経験をただ証拠として即時的に蒐集するために写真を用いるのなら、
対象に寄り添ったり、あるいは欲情したり、
実像と立ち会っている時間のなかで生まれた想念をかたちにしたい。

現実的なものの感覚が次第に複雑になるにつれて、それ自体の代償探求熱と単純化が生じてくる。そのもっとも重い中毒は写真を撮ることである。まるで写真家たちはますます貧血してきた現実感覚に対処して輸血を求めながら、新しい経験へ走ったり、古い経験を蘇らせたりしているようだ。彼らの偏在的な活動はもっとも革命的で、かつ安全な形をとった移動性ということになる。新しい経験をもとうとする衝動は、写真を撮ろうとする衝動へ翻訳される。経験は危険のない形式を求めるのである。
— Susan Sontag, 1977, On Photography(=1979,近藤耕人訳『写真論』)
# by mariyamy | 2009-10-22 22:43 | THOUGHTS ON IMAGE | Trackback | Comments(0)

まわりの時間

白い小さな家が夢に出た、
坂を登りつめた丘の上、なんとも
静かな空気の中に、丘の緑は繁茂し
寂しくて、祝福された時間。

かわいらしい仔山羊が夢に出た、
ひたと寄りそって、人間らしい穏やかさで、
ぼくを見あげる、まるで密かな約束を
かわした同士みたいに。そして、草を喰む。

陽が沈む、ガラス窓にきらきらと
光を刻んで、金いろの豪奢な光を、
寂しい丘のうえのあの小さな家の。

人生のあらゆる甘さをすべて
あの一点に、ひとつだけのあの燦めきに
あつめる、あの別れのあいさつのなかに。

— ウンベルト・サバ「楽園のソネット」、須賀敦子訳『ウンベルト・サバ詩集』


# by mariyamy | 2009-10-02 23:20 | Trackback | Comments(0)

東京国際女性映画祭にて

ツバル語翻訳を担当した海南友子監督のドキュメンタリー『ビューティフル・アイランズ〜沈みゆく3つの島』が東京国際女性映画祭で上映されます(写真美術館にて)。取材の位置づけや視点が異なる方の製作に、言語翻訳という立場でのみ携わり、色々と考えつつ自分の調査に立ち返る良い機会でした。ぶつぶつ自分に書いているようなブログでの掲載で恥ずかしいですが告知まで〜。

(以下転送)
■会 期:2009年10月17日(土)→10月21日(水)
■休映日:2009年10月19日(月)
■会 場:1階ホール
■上映作品:
○10月17日(土)
12:00〜〈田中絹代生誕100年記念上映〉
「女ばかりの夜」田中絹代、「田中絹代の旅立ち〜占領下の日米親善芸術使節〜」梶山弘子
18:00〜「今、このままがいい」プ・ジョン
○10月18日(日)
12:00〜「母の道、娘の選択」我謝京子
シンポジウム〈私たちの選択〉※入場無料
18:00〜「ビューティフル・アイランズ〜沈みゆく3つの島〜」海南友子
○10月19日(月)
記者会見
※会場は六本木ヒルズになります。写真美術館は休館日ですので、ご注意下さい。
○10月20日(火)
12:00〜〈特別上映〉「カティンの森」アンジェイ・ワイダ
15:00〜「アンを探して」宮平貴子
18:00〜〈特別上映〉「アニエスの浜辺」アニエス・ヴァルダ
○10月21日(水)
12:00〜「赤い点」宮山麻里枝
15:00〜「東海道四谷怪談」羽田澄子
※各回とも上映前に、監督、または関係者の舞台挨拶を予定しております。
上映スケジュール(チラシ表)[pdf_416kb]
作品詳細(チラシ裏)[pdf_532kb]
■料 金:
[当日券] 1,200円(税込)
[前売券] 1,000円(税込)※10月3日(土)発売開始
前売券取扱所:電子チケットぴあ 0570-02-9999【Pコード555-630】
岩波ホール 03-3262-5252
■お問い合わせ:
ハローダイヤル 03-5777-8600
チケットぴあ 0570-02-9111
東京国際映画祭 http://www.tiff-jp.net/ja/
東京国際女性映画祭 http://www.iwff.jp/
# by mariyamy | 2009-09-22 23:22 | Trackback | Comments(0)

ノリシロの有無

①これが私の感情の機微とでも言いたげに、悉く演出された言葉が押し寄せる。
片っ端の被理解のみを求めさめざめ泣きつくそれらは不遜でその実スカスカ、
だのにもう凝固点に達してます、ってか。

②作品からリアリティという共有感覚のみがハイスピードで引き抜かれるとき、
受け手の私たちに含まれるもの含まれないものが自動選別されることについて
何をどう述懐したらいいか。

③「     」
それがふいに口を突いて出た言葉だとしても、
その言葉が表れるか表れないかのあわい、彼はどこにいたんだろう。
あるいはその言葉でなければほかにどの言葉が?
時々そういう柔らかみに触れる。
# by mariyamy | 2009-09-17 23:04 | Trackback | Comments(2)

sans,

キェシロフスキ・プリズム
9月7日(月)~9日(水) 『短い労働の日』(74分)
9月10日(木)~12日(土) 『スティル・アライヴ』(82分)
9月13日(日)~15日(火) 『煉瓦工』『ある党員の履歴書』『種々の年齢の七人の女』(79分)
9月16日(水) 『スティル・アライヴ』
9月17日(木) 『地下道』+『初恋』
9月18日(金) 『スタッフ』
9月19日(土) 『平穏』
9月20日(日) 『短い労働の日』
9月21日(月) 『地下道』+『初恋』
9月22日(火) 『スタッフ』
9月23日(水) 『平穏』
9月24日(木) 『短い労働の日』
9月25日(金) 『スティル・アライヴ』

「哲学への権利——国際哲学コレージュの軌跡」完成記念上映会@UPLINK

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(慣習によってでなく、制度によるのでもなく、生来のものでもない、)
ただ互いが絶えず動き回る感情をたぐり寄せ、あるいはそれによって引きつけられている、
そんな大きな儚さのなかにいる。ふたりでいると、時間は線から点に切り刻まれる。
ひとりになれば、かすかに更新されている自分を世界にぶつけて。
どこかであなたが介在していることに安心する。
# by mariyamy | 2009-08-31 00:38 | Trackback | Comments(2)

最近のこと

・ツバル語翻訳を担当した、海南友子監督のドキュメンタリー"Beautiful Island"が釜山国際映画祭に正式出品されることになった。来年公開とのこと。
・新宿眼科画廊のマガジン「バランス」創刊号ができあがる。12月の5周年特別展に参加させてもらえることになった。

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(8/25)
突然舞い込んだ情熱、ほっぺを撫でる陸風。箱座りの猫が一部始終を目撃。形にならない想念を言葉にのせたいと女が焦がれるとき、他人に編まれた言葉を誠実に理解したいと男が囁く。アクセサリーを、と男が微笑めば、あなたが選んだ本がいいと女が返す。互いの多くを先に知っていた二人が心赤らめるのは、想念が一致したときより、ぴたり合わなかった偶然に出くわしたとき。ミニマルなループの反復が次のループに移った瞬間こそ、女はとてつもなくどぎまぎしている。you are my connection to the world!
# by mariyamy | 2009-08-26 23:34 | Trackback | Comments(4)

音と蠅

ハエさますごいな〜↓
ところで音はほんとに重力の影響を受けないのかしら。音は空気の振動によるエネルギー現象で物質ではないので重力と関わりがないけれど、低重力〜無重力状態下では空気の圧縮/膨張率が違ってくるからやっぱり何か影響があるんじゃないか。それとも変化があるのは音速だけで音の聞こえ方は変わらないのか。

「ショウジョウバエが音と重力を感じるしくみは、人間と似ている」科学ナビ
「ショウジョウバエが音・重力・風を検知する機構を解明」

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ジャームッシュ新作"The Limits of Control"。
# by mariyamy | 2009-08-16 20:11 | Trackback | Comments(0)

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